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東京タワーを「中国紅」に染めた舞台裏――在日華僑華人がつないだ日中友好への思い

2019年02月13日 | 未分類

2月4日の大晦日、東京タワーが春節を祝う「中国紅」にライトアップされました。日中各界の関係者が東京タワーの下に集まり、日本の安倍晋三首相からも中国語による新年のビデオメッセージが寄せられました。

東京タワーが春節を記念して特別にライトアップされたのは、これが初めてです。また、日本の首相が春節に向けた祝賀映像を発信したことも初めての取り組みとなりました。

点灯式の様子は同日、中国中央テレビのニュース番組を通じて中国全土に紹介され、日本国内でも多くのメディアが報道しました。赤く輝く東京タワーと「皆さん、あけましておめでとうございます」と中国語で伝える祝賀メッセージは、日中両国の人々に春節の喜びと友好の思いを届けました。

東京タワーを「中国紅」に

この企画のきっかけとなったのは、全日本華僑華人聯合会名誉会長の顔安氏が抱いた一つの思いでした。

長年日本で生活してきた顔氏は、東京の夜景にそびえる東京タワーを眺めながら、「この塔がいつか中国を象徴する赤色に染まれば」と考えるようになったといいます。その思いを中国駐日本国大使館総領事の詹孔朝氏に伝えたところ、すぐに賛同を得ました。

東京タワーは東京を象徴するだけでなく、戦後日本の平和と発展を象徴する建造物でもあります。中国の人々が家族で新年を迎える大晦日に、東京タワーを赤く照らすことは、日中友好と文化交流を広く発信するうえで大きな意義があると、両氏は考えました。

数度にわたる協議を経て、2018年12月18日、東京タワー春節ライトアップの基本構想がまとめられました。活動は、政治的な式典ではなく、民間交流、文化交流、友好交流を目的とするものと位置づけられました。在日華僑華人が主催し、顔安氏が実行委員会委員長を務め、中国駐日本国大使館が支援する体制が整えられました。

一時は開催中止の危機に

当初の計画は規模が大きく、会場設営や演出、来場者対応などを含めると、約9,000万円の予算が必要と見込まれていました。

2019年1月18日、中国駐日本国大使館では華僑華人団体および在日中国企業の関係者を集め、活動への参加を呼びかける説明会が開かれました。しかし、準備期間が短く、費用も高額であったことから、開催そのものを見送るべきではないかとの意見も出始めました。

点灯予定日まで残り2週間。実行委員会は、開催中止の可能性に直面しました。

詹孔朝総領事は、活動中止となれば、在日華僑華人社会全体の信用にも影響しかねないと考え、中国駐日本国大使館の程永華大使郭燕公使に状況を報告しました。

程永華大使は、日中関係が改善と発展の軌道に戻りつつある今こそ、両国の友好を民間レベルで後押しする象徴的な活動が必要であると述べ、開催継続を支持しました。

その後、実行委員会と東京タワー運営側が緊急協議を行い、企画内容を見直すことで、予算を3,000万円台まで圧縮することに成功しました。ただし、必要な資金は1月31日までに用意しなければならず、依然として大きな課題が残っていました。

「東京タワーを必ず点けてください」

活動は商業イベントではなく、協力者に直接的な利益があるものでもありませんでした。それでも、日中友好、春節文化の発信、在日華僑華人社会の団結という趣旨に賛同した多くの団体や個人が支援に動きました。

詹孔朝総領事が日本泉州商会会長の王秀徳氏へ状況を伝えた際、王氏は「心配せずに進めてください。東京タワーを必ず点けてください。足りない分は私が支えます」と答えたといいます。

その後、王氏は1,000万円を持参し、活動のために提供しました。この言葉と行動は、準備に追われていた関係者に大きな励ましを与えました。

このほか、名校教育グループ董事長の魏大比氏が500万円、日本中華総商会が350万円、日本福建経済文化促進会が約500万円、黄檗文化促進会会長の林文清氏が個人として200万円を支援しました。

総額3,000万円を超える活動費のうち、福建出身者による支援は約2,200万円に上りました。

また、横浜中華街でも大晦日の大型行事が予定されていた中、横浜華僑総会は獅子舞チームを東京タワーへ派遣しました。日中ボランティア協会からは200名を超えるボランティアが参加し、会場案内や安全管理を無償で支えました。

限られた時間での準備

資金面の課題を乗り越えた後も、会場設営や進行、報道対応など多くの準備が残されていました。

顔安氏と詹孔朝総領事は、限られた人員の中で細部を一つずつ確認し、深夜から早朝にかけて連絡を取り合いながら準備を進めました。

点灯式の室内会場は東京タワー向かいの宴会場に設けられましたが、当日の午後4時までは別の婚礼行事が入っており、会場設営に使える時間はわずか2時間でした。

さらに、点灯式の映像を同日夜の中国中央テレビのニュースに間に合わせるため、現場の取材・編集作業にも極めて厳しい時間制限がありました。

2月3日夜には現地でリハーサルが行われ、大型スクリーンの設営や機材調整に数時間を要しました。関係者が帰宅したのは翌4日午前2時ごろでしたが、同日午前9時には再び会場に集まり、全体リハーサルを実施しました。

本番直前には大型スクリーンの不具合も発生しましたが、技術スタッフの対応により無事復旧しました。

午後6時、式典は予定どおり始まりました。午後6時30分、日中双方の来賓が点灯ボタンを押すと、東京タワーは鮮やかな「中国紅」に包まれました。

団結が生んだ成果

東京タワーの映像は、日中両国のテレビ、新聞、インターネットで広く紹介されました。在日華僑華人からは、「日本で長く暮らしてきた中で、今年初めて本当の春節らしさを感じた」といった声も寄せられました。

顔安氏は、短期間の準備にもかかわらず、多くの団体や個人が力を合わせたことで実現できたと振り返りました。また、今回の活動は、日中関係における象徴的な民間交流となり、在日華僑華人が自らの文化的背景や社会的役割について改めて考える機会にもなったと述べました。

詹孔朝総領事は、当時の日中両国には民間レベルで友好を深めたいという共通の思いがあり、今回の活動はその気持ちを形にしたものだったと語りました。また、在日華僑華人にとっては、故郷への思いと中華文化への理解を深め、華僑華人社会の団結を促す契機にもなったとしました。

東京タワー「中国紅」ライトアップは、多くの在日華僑華人、団体、企業、ボランティアの協力によって実現しました。今回の取り組みは、日中交流を支える民間の力と、団結によって生まれる可能性を示す活動となりました。

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